依頼者さんに提出してもらう対象者情報のチェックシート。
対象者が「自転車を持っている」という項目に「自転車はない」と記入されている。
しかし、外出先から戻って来た対象者はどこからどう見ても自転車に乗っている。
どういう事だ?
もしかしたら誰かに借りたのかもしれない。
担当者からは「今日、対象者はいったん帰宅した後、また外出する予定がある」と言われている。
これは、万が一の事を考えて自転車を借りておくしかない。
ここで機転を効かせずしてどこで効かせるんだ。と担当者に詰められるのはごめんだ。
デキる調査員はこういった時、独断でレンタルチャリかLUUPを探しておく。
このクソ暑い中、選ぶのは‥出来ればLUUP。必死になってチャリを漕ぐのは、その後の尾行も考えてなるべく避けたい。
先々の事を想定し、対象者が出て来る前に準備しておけば失尾する確率を下げる事も出来る。
こういう時、神は味方する、目と鼻の先にLUUP発見。
ふふっ、持ってるな~。そして我ながら素晴らしい機転。
先を読んだ調査員として、最善な判断。と担当者も思うだろう。張り込み開始を指示された30分前に現着していた事も優秀な調査員なら当然の事だ。
今日は担当者に機転を効かせた事をこれみよがしにドヤれる日だ。
準備万端、さぁ、対象者!いつでも出てこいやー!
ほどなく10分経過したころ、対象確認!
LUUPの料金は現在300円前後。このたった300円が調査結果の良し悪しを変える‥。
いつでも発進出来るぞLUUP!!
さー行くぞ!!
と待っていたら、対象は徒歩で移動…
チャリ乗らんのかーい!!!ヤベー!!!
急いでLUUPを返却。相棒が対象者追っ掛けてくれているところにダッシュで合流。(結果、必死にチャリ漕ぐよりしんどいやつ)
合流した途端、相棒の足がピタっと止まった。
相棒「タクシー乗り場に並んだ。」
え?「タクシーを使う」にもチェック無かったよ?倹約かだから乗らないって書いてあったけど?で、さっき自転車も乗ってましたけど?依頼者さんからの情報の裏を行く対象者‥
担当者からしたら謎のLUUPの料金。
でも、機転効かせた訳だし!普通許してくれるところだよね!それどころかこれって褒められるところだよね!
相棒「で、担当者にLUUPの事言うの?」
……まぁ、今回は、、辞めておこうかな。